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2009年12月20日

三つの原点とは

12月18日、登山家の片山右京さん(元カーレーサー)が
真冬の富士山で遭難した。

彼は自力で下山してきたわけだが、
いつ死んでもおかしくない状況だったであろう。
実際、彼と行動を共にしていた仲間は生還することができなかった。
登山というのは、ある意味、人生の修行なのかもしれない。


まずは前回の復習から。

――なぜ仕事に思想が必要か? 

現実に流されない為。

――思想だけを身につければよいのか? 

覚悟も必要。覚悟があれば実社会の格闘を通して真の思想が得られる。

――いかにして「思想」を身につけるか? 

三つの原点から今の仕事を見つめなおす。

――三つの原点とは何か?


▼三つの原点
死生観・・・「生死」という深みにおいて観ること。

世界観・・・「世界」という広さにおいて観ること。

歴史観・・・「歴史」という流れにおいて観ること。


死生観を身につけるには、「投獄」「戦争」「大病」という
三つの体験のいずれかを持たなければならない。
明日死ぬかも分からないと言う体験を通して深い覚悟が得られる。
極限の体験を通じて、精神の深みにある何かを掴み取る。
そして戻ってきた人間が、何かを成す。

現代の日本ではこれら三つの体験しようと思っても難しいが、
若いうちに死生観を身につけることが出来ればすごいことが起こるらしい。
(戦国時代や幕末などいつ殺されるか分からない状況におかれると、若いうちから確固とした死生観が身につく)

きけ わだつみのこえ―日本戦没学生の手記 (岩波文庫)
学徒出陣した方々の手記。大半が帰らぬ人となった。
共通しているのは精神の成熟。覚悟が出来ている。人生を見つめる視線が深い。
精神が成熟と深化を見せた直後に生を終える。
これは逆説で、間もなく生を終える状況だからこそ精神が成熟し、深まるといえる。

人は必ず死ぬ。生まれたばかりの赤ん坊でも死に向かって一歩ずつ進む。
「メメント・モリ」(死を想え)と言う言葉は充実した生き方につながる。
「自分はいずれ死ぬ」と覚悟を定め、「いかに死ぬか」を求め、
自身の「思想」を深めていけばすばらしい人生、実り多き人生となる。

では、若いうちに死生観を身につけるのはどうすればいいか。
一つの方法として、想像力の極みで死と対峙することが挙げられている。
つまり本、それも人間の生死の限界を描いた文学を読むことである。

例えば、『静かなノモンハン』という小説を読む。

あるいは、不治の病を体験された方の書かれた手記を読む。
飛鳥へ、そしてまだ見ぬ子へ―若き医師が死の直前まで綴った愛の手記 (祥伝社黄金文庫)
悪性腫瘍で若くして他界された医師の手記。

あるいは、映画や報道など。

ディア・ハンター [DVD]
主人公を自分に置き換えてみる。


また究極の修行として、仏教学者・紀野一義師の
「明日、死ぬ」という方法がある。
自分が明日死ぬと思い定め、今日を往き切るという修行で、
誰でもできるが大変な想像力と強靭な精神力が必要。

人生は砂時計のようなものである。
平均寿命は幻想に過ぎず、砂の量は一人一人違う。
この砂が全部下に落ちれば命は終わる。

いつ落ち切るか誰にも分からないので、「一期一会」と思い定める。
悔いが残らないように全力を尽くす。
精一杯生き切ったのだから、
たとえいま命が尽きても悔いは無いと思えるようになる。
すばらしい人生。それが覚悟。

「砂時計」の砂の落ちる音に耳を傾けることで、
この一瞬を、最高に充実して生きることが出来る。


「世界」という広さにおいて観れば、自分は恵まれた人間である。
そのことに気付けば、使命感が生まれる。

「歴史」という流れにおいて観るというのは、
「人類の歴史」がどこに向かうかを考えること。
その上で、「仕事の意味」を考える。

ただ、「人類の歴史」を学ぶだけでは未来は見えてこない。
「人間の意味」を問う必要がある。

なぜ我々は存在するのか、「人間」を超えたスケールで
「歴史」を見つめなおす。

つまり、「宇宙の歴史」に目を向ける。


さて、タイトルにもある
なぜ、働くのか。

その答えは本書では明らかにされてないが、
それは答えが無いからだ。

「知性」とは、「答えを見つける力」ではなく、
答えの無い問いを「問い続ける力」であるという。

世にあふれる安易な答えに流されることなく。


参考書籍: なぜ、働くのか―生死を見据えた『仕事の思想』 (PHP文庫)



posted by macky at 01:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書メモ | edit
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